ロックショアで初めてヒラマサを釣ったあの日からおよそ一か月。あの興奮と感動は釣り人生で得難い経験となった。
そして再びあの磯でヒラマサと相対することとなった。
もう慣れた磯までの山道を暗いうちから一人下る。木の茂る山道は月の明かりが入りにくく非常に薄暗い。ところどころイノシシが掘り返した後だろう。土が不自然なほど柔らかい場所がある。
一度だけ遠くをダッシュするイノシシを見かけたが、眼前に現れたことはまだない。目の前でこっちを睨んでいたらどうしよう。
山道を歩くときはできるだけ大きな音を立てたり、スマホで音楽を流しながら歩くようにしてイノシシに存在をアピールする。これが有効かどうかはわからないけど。
暗い山道を下り地磯に出ると月明かりで視界はだいぶ開ける。釣り座の磯まで軽くロッククライミングをしないといけないがそれも慣れた。誰かの張ったロープも使わせてもらいながら。
ヘッドディップを投げ続ける
すっかり一軍ルアーになり釣果も文句なしのヘッドディップを迷わずタックルにセットする。
タックルの準備をしている間に周囲は徐々に明るくなってきた。
まずは磯際の足元。近いところの魚を獲りつつラインを濡らす。捕れたことほとんどないけど。そして徐々に飛距離を伸ばして沖の魚を誘う。
この日はカオスタイムには突入せずにヘッドディップを黙々と投げ、沖を回遊する青物にひたすらアピールを続ける。
ずっと同じルアーを投げてると魚がスレて釣れなくなると言うが本当だろうか。確かに同じ魚にたいして同じルアーを見せ続けるとさすがにダメだろう。
港内のような出入口が限定されたエリアなら特定のグループが行ったり来たりする可能性は高く、確かにスレるのかもしれない。
だけど外海に開けたエリアで沖を回遊する魚についてはどうだろうか。果たして同じグループが毎回ルアーを視界に入れるだろうか。
このことについては別の記事で僕なりの考えをまとめようと思う。
とにかく、沖を回遊するであろう魚に通りがかったタイミングに合うようルアーを海に入れておくには、ひたすら投げ続けるしかない。
そして再びその時が
釣り始めから 3時間ほどしつこくヘッドディップを投げていると、それまでなんの気配も無かったのに突然ルアーを引ったくる魚が現れた。
瞬時に体が反応し合わせを三回入れる。
魚は手前に走りながら潜ろうとするがロッドのパワーでそれを許さない。足元の突っ込みで割りとガチガチのドラグが出される。
リーダーはナイロンの50LBだが、いつも2mほどしか入れていない。PEラインが根ズレしては一貫の終わりなので、磯際の立てるギリギリまで前に出る。
グリップエンドを左手、リールシート辺りを右手で支えテコの要領で魚を全力で浮かせる。
水面に顔を出したのは青物。あとはランディング。
磯際に寄せる波に乗せてずり上げリーダーを掴む。一発でランディング成功。魚をタイドプールに移動させやっと息をつく。
ヒラマサ。初めて釣った前回はググりながらヒラマサと判断したけどこれはもうググるまでもなくヒラマサだ。
目付きが悪いブリに比べヒラマサはいくぶん目元が柔らかだ。釣り上げた直後は興奮してるのか、黄色い縦縞がくっきりしているが落ち着いてくるとブリに比べ魚体が白っぽく見える。
体型はブリよりスリムに見え体高もブリの方が若干大きそう。それでいてブリより引きが強いのだからヒラマサの人気が高いのもよく分かる。
引きの強さで言えばカンパチが頭ひとつ飛び抜けている印象だが、まだ同じサイズのカンパチを釣り上げたことがないので比較できない。一度だけ目測70cmほどのカンパチがヒットしたことがあるが、ランディングをミスってバラしてしまった。それほど大きくなかったとは言えあの引きはえげつなかった。
ロックショアの夢にカンパチとの対決も当然含まれている。その時まで腕を磨くのみ。メーターオーバーのヒラマサもそう。
前回とほぼ同じサイズのヒラマサ。魚を背負って地磯を歩き山道を登る辛さも釣れた時のみ味わえると思うと苦にならない。
ヴァンキッシュでヒラマサを獲る理由
ヴァンキッシュでヒラマサを狙ってるアングラーなんて他にいるのか。ガチのロックショアアングラーに怒られるだろう。「青物舐めんな」って。
ロックショアで狙うヒラマサ・カンパチクラスの青物なら、シマノで言えばツインパワーSWとかステラSWくらいのハードユースに耐えられるリールがスタンダードだというのは分かる。
でも僕はヴァンキッシュで青物を狙う。理由は。
ヴァンキッシュしかリール持ってないから。
これまでのところヴァンキッシュで獲れなかった魚はフックアウトや自分の判断ミス以外ではまだ無い。90cmオーバーのシイラは余裕だった。当たり前か。
しかし裏を返せば実用ドラグ6.0Kg、最大ドラグ11.0Kgで十分な魚としか対決してこなかっただけとも言える。10Kgオーバーの青物がかかったらおそらくリールが負けるだろう。運が良ければ獲れるのかもしれないけど。
万一キハダでもかかれば手も足も出ずリール破壊されるかもしれない。キハダが狙えるシーズンまでにはタックル強化を考えよう。
タックルデータ
- ロッド:シマノ コルトスナイパーXR S100H-3
- リール:シマノ 19 ヴァンキッシュ C5000XG
- ライン:VARIVAS(バリバス) ライン キャスティングMAXパワーX8 200m 2.5号
- リーダー:VARIVAS(バリバス) リーダー オーシャンレコードショックリーダー ナイロン50LB
釣行時期
2021年1月下旬